ゴミの山が巨大な彫刻に変貌した「モエレ沼公園」を歩く

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1.埋立地を再生した一大ランドスケープ

今回訪れたのは札幌市郊外。
市街地から車で20分ほど走ると、どこか人工的な丘陵が目に入ってくる。ここが「モエレ沼公園」だ。

観光パンフレットには「自然とアートの融合」と謳われているが、かつてこの場所がゴミの埋め立て地であったことは、この公園の存在ほどには知られていない。

この場所を最後の仕事場として選んだのが、世界的彫刻家 ノグチ・イサムだった。
構想の話が持ち上がった1988年に彼は84歳となっていたが、人の負の側面を受け止めてきたこの地を芸術の力で癒し、蘇らせることを構想し、たった数ヶ月で公園全体のマスタープランを仕上げてしまった。

その年の12月にノグチは急逝してしまうが、この構想をベースにイサム・ノグチ財団や建築家らがその意思を受け継ぎ、数年の時を経て公園はオープンした。

2.冬の沼地に浮かぶピラミッド

訪れたのは11月。
雪をかぶった地面には、かつてのゴミの記憶が薄らと眠っている。

敷地内を歩いていると、ガラスのピラミッドが現れる。無機質な三角形の塊が、白銀の大地に突き刺さるように建っているその姿は、どこか異様で、まるでUFOの着陸跡のようでもある。

この建物の地下には雪冷熱を利用した空調設備が仕込まれており、人工と自然、機能とアートの境界が曖昧に溶け合っている。
ここでは建築が彫刻であり、彫刻が環境そのものなのだ。

3.音と光と視線が交差する異形の劇場

ガラスの建物から離れると、次に見えてくるのは「ミュージックシェル」と呼ばれるステージだ。

モエレ沼公園

音を反響させるように設計されたこの構造体は、真正面にそびえる「プレイマウンテン」に向けての反響板になっている。

このプレイマウンテンの丘を登りきると、札幌の郊外と雪の大地が静かに広がり、あたりを一望できる。

モエレ沼公園

先ほど建物が反響板になっているといったが、広大な敷地を含めた大地は、自然や音で互いにリンクしているのが面白い。

風景を眺めているうちに、大地によって繋がれたモノ同士の関係を感じとることができる。
その瞬間、どこか背筋がぞくりとする。

4.大地に立ち、都市の裏側を感じる

最大の構築物は「モエレ山」と呼ばれる人工の山だ。
高さ約50m、各辺300mという巨大なスケールながら、その大地はゴミと残土によってできている。

モエレ沼公園

山頂からは街の明かりが見える。だがそれは決してロマンチックなものではなく、むしろ都市の裏側、生活の残滓、見たくなかった現実も含まれつつ静かに横たわっている風景だ。
ノグチは、そんな土地を美しさへと昇華させた。

モエレ沼公園

巨大な三角形の彫刻テトラマウンドの人工物感と自然とのコントラストも素敵だ。
ノグチの作品は実物としてのモノ部分だけでなく、モノによってつくられる「空」の部分が特徴的だが、このモニュメントにはそんなノグチらしさが詰まっている。

5.彫刻か、遺跡か、モニュメントか、それとも

公園に佇んでいるうちに段々と陽が落ちてきてしまった。
陽が落ちることでより鮮明に浮かび上がってくる建物や大地のシルエットが美しい。

モエレ沼公園

この場所には、沈黙が似合う。大地も建築もモニュメントも口を閉ざしてそこに佇む、芸術というより、何か封印めいた儀式の痕跡のようにも見える。
だからこそ、長い時間佇んでいると、静かなメッセージを受け取ることができる。

モエレ沼公園

陽が沈んだモエレ沼公園は、本当に真っ暗だったが、昼間とは違った表情をみせてくれる。
夕方までではなく、夜の22時まで開園しているのはなるほどそういうことかと納得した。

ここは、ただの公園ではない。ゴミとアート、死と再生がせめぎ合う、アンダーグラウンドの聖域であり、大地との対話の場であっだ。

【モエレ沼公園】
オススメ度:★★★★
住所:北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1
アクセス:札幌駅から車で約20分
開園時間:7:00~22:00
入園料:無料
予算目安:150円(冬に行く場合はあったかい飲み物を)
備考:1993年一部エリアオープン、2005年グランドオープン
時期によって各ゲートの開放時間が異なるので公式HPなどを要確認。
公式ウェブサイト:https://moerenumapark.jp/
※記事執筆時点での情報

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