1.閑静な住宅街の中にある特異な公園
東京・神楽坂といえば、お洒落なカフェや粋な小料理屋が軒を連ねる大人の街というイメージが強い。
しかしそんな街の一角に、奇妙で、どこか異質な空気を放つ児童公園が存在している。その名も「あかぎ児童遊園」。

場所は赤城下町。神楽坂駅から北西へ歩くこと約5分、住宅街の谷間にひっそりと口を開けるこのスポットは、知る人ぞ知る東京の珍公園である。
2.異空間への入り口は、唐突に現れる
公園の入り口は唐突に現れる。
神楽坂はその地名の通り坂の多い街である。この公園も高低差6mという不自然なほどき落差のある地形に無理やり押し込まれたような構造となっている。

まるで都市の裏側に存在する秘密の抜け道のようでもあり、何の変哲もない都心の小公園にもみえる絶妙な雰囲気が面白い。
しかもこの公園、近隣住民のショートカットルートとして機能しているらしく、無言で通り抜ける人々の姿が余計に不気味さを増している。
3.突如現れる巨象!沈黙する守護神で遊ぼう
そんな妙な緊張感の中、目の前に突如現れるのが「象」である。まるで地中から這い出たかのような巨大滑り台だ。

鉄のはしごの右耳、ボルダリング風の左耳、そして不気味に口を開ける鼻先。その造形は滑り台というより彫刻、いや、ある種の都市遺跡のようだ。
頭の後ろに回ると確かに滑り台だ。

トンネル、牙、くり抜かれた目元。すべてが異様に作り込まれている。
6mの高低差といえば2階建ての住宅ほどの高さになるが、象の彫刻も1階分ずつに2体いるのが微笑ましい。

都市の狭間に潜む謎のアート、あるいは神楽坂に巣食う「守護獣」のようでもあるが、意外にも子供には人気のようで、何度か訪れたがいずれも子供が象と戯れていた。
4.小さな生命が漂う、無秩序のオブジェ群
この公園の奇妙さは象だけでは終わらない。
その鼻先にある砂場には、なぜか無数の「生き物」が配置されている。

カメ、キリン、小象……どれも絶妙に愛らしくも簡素な出立ちとなっている。
動物たちは何の脈絡もなく配置され、海とも陸ともつかないシュールな世界を作り出している。

よくわからない、それゆえに面白い。意図不明なデザインが、逆に人の好奇心を刺激するのだなんてことを考えながらしばし佇んでみた。
5.この街の“異常値”としてのあかぎ公園
最後に園内を抜け、反対側の出口へ向かう。

そこにもモザイク状のタイルが敷かれ、まるで都市の亀裂をふさぐ補修跡のように浮かび上がる。
滑り台、公園、通路、動物……ちぐはぐで、無理やり繋ぎ合わされた世界のようで、でも何故かしっくりくる不思議な公園だった。

整備された東京の中に、こんな風景が紛れ込んでいることに嬉しくなるが、子供の遊び場として十分な魅力を秘めているのが何より素晴らしい。
神楽坂の裏に開いた楽園では、今日も子供たちが思い思いの遊びに耽っているだろう。
【あかぎ児童遊園】
オススメ度:★★★★
住所:東京都新宿区赤城下町21
アクセス:神楽坂駅から徒歩約5分
開園時間:
4月~10月 8:00~18:00
11月~3月 8:00~17:00
開園年:1969年(1992年改修)
予算目安:0円
備考:閉園時間があるので注意
※記事執筆時点での情報

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