1.老舗店が点在する神田のディープゾーンへ
今日訪れたのは東京神田の須田町。
この一帯は、神田や秋葉原、御茶ノ水に囲われながら、今尚戦火をくぐり抜けた木造建築が点在しているちょっと変わったエリアだ。
そんな戦前建築エリアに店を構える鳥すきやき専門店「ぼたん」が今回の目的地だ。

明治時代創業のこの店は、食通でもあった作家の池波正太郎が足繁く通ったことで知られる老舗店。彼のエッセイにも登場し、破天荒なエピソードがいくつも残っている。
文化の薫りと脂の匂いが混ざり合う、まさに知られざる大人の歴史グルメスポットといえる場所だ。
2.外観からすでに特別、昭和の面影が色濃く残る古き良き料亭
ぼたんがあるのはJR神田駅から歩いて10分弱。小川町駅や淡路町駅からなら数分の距離だ。

小道にひっそりと佇む木造二階建ての建物は、昭和初期の息遣いをそのまま残している。
若干の改装はされているものの、古い木枠窓や大開口の座敷が顔を覗かせている。ちなみに建物自体は東京都選定歴史的建造物にもなっている。
外観を眺めながらしばし待機し、開店と同時にのれんをくぐる。
3.いざ入店、老舗ならではの粋なもてなし
玄関先では、下足番の年配男性が丁寧に迎えてくれた。
こういう出迎えだけで、心がほどけていく。

玄関奥には富士山の溶岩石を配した坪庭があり、まさかこんな場所にこんな空間があるのかと唸らされる。
今回は4人で予約していたので、一部屋をまるごと貸切に。
畳の上に小ぶりなお膳が4つ並ぶだけの簡素な空間が、逆に贅沢に感じられた。

すでに炭火の準備が整っており、備長炭の赤い光がじんわりと室内を染めていた。
ぼたんでは現在もガスすら使わず昔ながらの炭火にこだわっているそうだ。
4.鉄鍋にくぐる文豪の味を堪能
「ぼたん」の看板メニューは、もちろん鳥すきやき。
ランチ9,000円という価格には一瞬たじろぐが、今日はハレの日なので気持ちよく席につく。
まずは鶏そぼろのお通しで一献。頃合いを見て、店員さんが最初の鍋を手際よくつくってくれる。

ムネ、モモ、つくね、砂肝、レバー…そしてたっぷりのネギと豆腐。すべてが厳選され、絶妙なバランスで鍋に並べられていく様には美学すら感じる。

炭火のパチパチという音とともに広がる甘辛い香り。
とき卵にくぐらせて口に運べば、コクと奥行きのあるすき焼きの味が口の中いっぱいに広がる。
鍋はセルフで追加しながら進めていくが、これまで食べたすき焼きの中で圧倒的に美味しい絶品の鳥すきに端が止まらなかった。
5.締めはおじや、余韻とともに味わう昭和の贅沢
ラストは定番のおじやで〆。
鶏と割り下の旨味をたっぷり含んだスープにご飯を投入すれば、そこには静かな感動が待っていた。

デザートには季節の果物。
この日は冬のみかんだったが、夏には西瓜が供されることもあるという。
食事というよりも、もはや体験と呼ぶべき食の旅。
100年近く前、かの文豪や名だたる文化人たちもこの贅沢な味わいに舌鼓を打ったのかと想像を膨らせながら、余韻に浸った。

皆さんもたまにな贅沢に、是非ぼたんの鳥すきやきを味わってみてはいかがだろうか。
【鳥すきやき ぼたん】
オススメ度:★★★
住所:東京都千代田区神田須田町1-15
アクセス:淡路町駅・小川町駅から徒歩約2分、神田駅より徒歩約10分
営業時間:11:30~21:00
定休日:日曜、祝日
予算目安:10000円
備考:創業1897年/東京都選定歴史的建造物
公式ウェブサイト:https://www.sukiyaki-botan.co.jp/
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