1.府中の住宅街にあるクセ強アートパーク
今日はたまたま府中にいく用事があったので、ずっと気になっていた童々広場を訪れてきた。
府中といえば甲州街道の宿場町として栄え、東京五社に数えられる大國魂神社でも知られる歴史と近年では新宿まで1本で行けるアクセスのよさに加え、府中競馬場やショッピングモールなどのエンタメ施設や商業施設からベットタウンとしても人気のエリアだ。
そんな府中の中心である府中駅から歩いて数分のところにあるのが、今回の目的地である「童々広場」だ。
この童々広場は正式名称を桜通り広場公園といい、公園内には童子の怪しげな彫刻がいくつも設置され、常軌を逸した風景が広がっている。

遠目から見ると何でもないよくある街角の小さなポケットパークなのだが、近づいていくと段々と違和感を感じてくる。

公園内で異彩を放っているのは「童子」と呼ばれる子供の像だ。
それも一つではなく、動きのモーションと共に走り回る軌跡が銅像として空間に固定されているのだ。
2.日本を代表する芸術家による作品群に注目
公園脇の銘板には「蓮の池、カエル、走る童子、桜の童子、こぼすなさま」という作品名と、作者である籔内佐斗司氏の名が刻まれていた。
恐らく初めに見たのは「走る童子」だろう。

ここでこの彫刻の作者である籔内佐斗司氏に触れておきたい。
籔内氏は東京藝術大学名誉教授であり奈良県立美術館館長なども務める日本を代表する彫刻家だ。
その名に聞き覚えのない方には平城遷都1300年記念事業の公式マスコットキャラクターである奈良の「せんとくん」の作者といえば伝わるだろうか。
確かに先ほどの走る童子は、「せんとくん」にかなり似ている。
ただ、ブロンズ像となりポケットパークに大量に召喚された童子の姿は異質そのものである。

長らく東京藝術大学で仏像の修復に携わり、芸術家としてもキャリアも長い籔内氏であるが、その作風はかなりぶっ飛んでいる。
3.籔内氏の作品を代表するモチーフ童子
今ではすっかり奈良を象徴するキャラクターとなったせんとくんだが、発表当時はかなり物議を醸したことを覚えているだろうか。

当時子供だった私は朝のニュース番組でキャスターやコメンテーターが、せんとくんのビジュアルについて激烈な違和感を表明したり、連日賛否両論の意見を述べあっていたことをよく覚えている。
興味がある方は籔内氏の公式ホームページを見てみてほしい。
黒をベースにしたかなり懐かしのテイストの上に激烈な個性をみせる籔内氏の作家性がよくわかる。
そして童子はそんな籔内氏の作品を代表するモチーフであり、世界における命の象徴でもある。
4.生命の息吹を感じる、今ここのアート
再びパーク内に点在する作品に目を向けると、蓮の池などは極めて仏教的なモチーフだ。

仏教で蓮の花は極楽を象徴する花だが、よく見ると咲いているものの中に、咲いていないものが混じっているのが示唆的に思える。
地面を這うカエルも面白い。

通常、銅像は時間軸が固定され、永遠に変わらない時間が表現されることも多い。
しかしこのカエルからは、走る童子と同じく永遠とは真逆の今ここで起こる変化が感じられる。
つまりそれは生命の息吹ともとれる。
お寺に安置された彫刻からは高尚で人間離れした時間軸を感じるが、童々公園の彫刻からはどこか俗世的で日常的な時間軸を感じるのだ。
5.唯一無二の異質な公園 童々広場
しかし、その日常的な時間軸や俗世的な世界観が、必ずしも府中の日常生活に溶け込んでいるわけではないこともまた面白い。
もちろん時間帯や季節によっても変わるだろうが、この広場は賑わいよりも異質さが際立っているし、そのまま受け入れるには前衛的すぎる。
実際私の見学したとき、この公園には私以外は誰もいなかった。
故にゆっくり見学ができたのだけれど、異質な地に足を踏み入れている感覚が終始漂っていた。しかしそれでいい、というのも芸術の持つ特性であり力だ。

最後にもう少しだけ公園内を散策。
こちらの桜の童子は、元々この通りにあった桜の木の枝を支えていたようだが、今はその枝もなくなり空に突き出しているだけだ。
最後に見逃しがちな、こぼすなさま。
こぼすなさまは、籔内氏のいくつかの作品にも登場する右手に掃除用具を持っている像だ。
全裸でありながら、この堂々とした出立ちは、家に戻った後でも強烈に脳裏に焼き付いている。

決して大きな公園ではないが、籔内氏の世界観を街角のパブリックスペースで体験できる童々広場。
もし近くに府中に用があった際には、ぜひ立ち寄ってみてほしい。
【童々広場】
オススメ度:★★★
住所:東京都府中市寿町1
アクセス:府中駅から徒歩約6分
予算目安:0円
※記事執筆時点での情報
B級スポット・珍スポットランキング
にほんブログ村
↑珍スポット・B級スポットのブログランキングに参加しています。よければクリックして応援してもらえると嬉しいです。


