横浜中華街の裏側にある魔窟「関帝堂書店」でディープなブックカフェ体験

1.横浜中華街の裏手に潜む「異空間」に潜入

観光地としてにぎわう横浜中華街の大通りから一本裏に入ったところに、「関帝堂書店」と名乗る不思議なブックカフェがある。

関帝堂書店

場所は「横濱バザール」というテナントビルの3階。
このビル、もともとは戦後の闇市をルーツとする骨董市場に始まり、現在でも占いや雑貨、アングラ系の古道具を売る店がひしめいている異空間だ。

入り口には目立つ看板もなく、雑居ビルの急な階段をのぼってようやくその姿が見えてくる。

関帝堂書店

店の前に立っても、どこからどう入るのか一瞬ためらうほどのアングラ感がある。

2.本によって仕切られた個室と書物の迷宮

細い廊下の奥に黒いカーテンがかかっており、そこが「入り口」らしい。幅はわずか50センチ。

身体を斜めにして潜り込むと、そこからまるで別世界がはじまる。

中に入るとすぐ、書棚が壁のように積み上がっている。
天井まで積まれた本が区画をつくり、それがそのまま個室となっている構造だ。

関帝堂書店

薄いカーテンや本棚によって仕切られたその空間には、周りの人の気配が微かに伝わってくるが、この建物自体が人がまばらなせいもあって、異様なまでの静けさが支配していた。

壁のようにそびえる本棚の隙間から外廊下がちらりと見えるのもいい。誰かに見られているような、そんな背筋の寒くなる感覚すらある。

3.アジトのような趣の読書空間

注文は入口の小窓から行う。
店員の姿はガラス越しにしか確認できない。必要以上に話さず、干渉もしてこない。そんな応対がかえってこの空間の不思議さを引き立てている。

並ぶ書籍は一癖も二癖もある。
中国のプロパガンダポスター集、性愛に関する研究書、武術指南書、そして中国語版の日本漫画。
どれも一般書店ではまずお目にかかれないような、エッジの効いたラインナップばかりだ。

店内の照明は間仕切りによってかなり暗めだ。
各ブースには小さなライトが取り付けられている。

読書に集中できる環境というよりも、秘密裏に何かを調査するアジトのような趣だ。
外の世界とは完全に切り離された、密閉されたような空間で過ごす時間は、ちょっとした「潜入体験」とでも言えるだろう。

4.パンダと中国茶、シュールな甘味セット

今回頼んだのは、名物の「パンダケーキセット」。
本格的な中国茶と一緒に供されるこのセットは、ビジュアルこそ愛らしいが、どこか妖しげな魅力がある。

関帝堂書店

ゼリーでかたどられた小さなパンダは、どこか表情が曖昧で、こちらをじっと見ているような錯覚にとらわれる。
ひょうたんから急須にお湯を注ぎ、湯気を立てながらゆっくり味わうお茶は本格派。

甘味と渋味のバランスが絶妙で、静けさの中にほんのわずかな贅沢を感じられる時間だった。
派手さはないが、じわじわとくる異国情緒。
横浜のど真ん中で、こんな感覚を味わえる場所は他にない。

5.中華街の裏側にひっそりと存在するとっておきの場所

関帝堂書店は、表通りの華やかさとは無縁の場所に存在している。

外界から隔絶されたような空間に、独特にチョイスされた書物と静寂、そしてどこか妖しさすら感じさせる空気が共存する不思議なブックカフェだ。

人が多い週末でも、ビルの3階まで足をのばす者は少なく、喧騒から切り離された場所としてひっそりとしているのもよい。
初めて入るのには少し勇気ぐいるけれど、一度足を踏み入れたら忘れられない体験がここにはある。

ただのカフェではない、ただの本屋でもない。普段体験できない空間と書物を求めて、またあの黒いベールの向こうへと足を運びたくなる。
横浜中華街の知られざる面を象徴する、隠れた名所であった。

【関帝堂書店】
オススメ度:★★★★
住所:神奈川県横浜市中区山下町166 横濱バザール3階
アクセス:石川町駅から徒歩約7分
営業時間:
 平日 17:00・18:00頃~19:30
 土曜・日曜・祝日11:00~19:30
定休日:水曜
予算目安:500円~1000円
※記事執筆時点での情報

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