1.観光都市浅草に残る異界
浅草の中心、観光客でごった返す浅草寺の裏手に、まるで時代から取り残されたような遊園地がひっそりと存在している。それが「浅草花やしき」だ。

江戸時代の末期につくられた「花屋敷」をルーツにした遊園地は、それだけでも十分ディープなスポットだけれど、この遊園地の真の見どころは、地上ではなく「屋上」にある。
観覧車でもなければ展望台でもない。
屋上に待ち受けているのは、「ブラボー神社」という奇妙な名の神域だった。
2.誰もいない屋上に佇む球根
園内の喧騒を抜け、階段を上ると、そこにはまるで人気のない屋上庭園が広がっていた。
ここに足を踏み入れると、遊園地というより何か別の次元に迷い込んだような感覚に陥った。

地上ではあれほどの人混みだったのに、ここだけは別世界のように静まり返っている。
看板には「ブラボー神社」とあるが、どう見ても簡素な屋台のようなつくり。
だがその中央には、球根のような奇妙な形をした「ブラ坊大権現」が鎮座していた。

なでると縁結び、しかも「玉の輿」に乗れるという。球根と求婚がかかっているらしい。
いかがわしいようでいて、どこか本気でもある。試しになでてみると、どこからともなく「ブラボー様のテーマ」が流れ出す。
チープな電子音楽なのに、なぜか耳から離れない。気づけば脳内をループしていた。
3.ボヨノ花、微笑む女力士
神社のそばには「ボヨノ花」と呼ばれる女性力士像が立っていた。

丸々とした体つきで、やさしく微笑んでいる。不気味ではないが、なぜここに、なぜ力士なのかという疑問がずっと頭から離れないが、どうやらかつてあった見世物小屋のアトラクションだったもののようだ。
この屋上には説明が少なく、訪れた者に想像を委ねる空白が多い。それが逆に不気味で、魅力的でもある。
観光地の裏でこっそり息をしている、そんな異物のような空間だ。
4.異界から降りてもそこもまた異界
下に戻れば、子どもたちの悲鳴と笑い声が渦巻く遊園空間が広がる。

70年前のローラーコースターがギシギシと悲鳴を上げ、壊れかけたパンダカーが黙々と歩く。
せっかくなので自動販売機で乗り物チケットを購入していくつかの乗り物を楽しんだ。

ローラーコースターは現存する日本最古のものだが、狭い敷地内を駆け巡ることもあって想像以上のスピード感があった。

他にも園内には滝があったり洞窟があったりと、なんだかんだでかなり楽しめる。

花屋敷の中心にはかつて鳥獣のお墓があるのも興味深い。
見てはいけないものに出会ったような感覚と、これらは現実だったのかという小さな疑念があとを引く。
5.花やしきという迷宮
最後は浅草花やしきグルメを頂きながら余韻に浸る。

花やしきは単なるレトロ遊園地ではない。密集する遊具と人々の裏側に、訳のわからない不思議が見え隠れしている。
歴史があるけれどチープさもあり、妖しげな部分もあるけれどやけに心に残る。
コースターやメリーゴーランドも良いが、花やしきに行くなら、ぜひ屋上を目指してほしい。
そこであなたも、あの奇妙なメロディと、あの不気味な静けさに、出会ってほしい。
【浅草花やしき】
オススメ度:★★★★
住所:東京都台東区浅草2-28-1
アクセス:浅草駅から徒歩約4分
営業時間:10:00~18:00
予算目安:1200円~3000円
公式ウェブサイト:https://www.hanayashiki.net/
※記事執筆時点での情報
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