幻の駅!?上野の閉ざされた地下空間「博物館動物園駅」に潜入してきた

1.幻の駅 博物館動物園駅とは

上野公園の片隅に、忘れ去られたひとつの駅がある。
今回訪れた博物館動物園駅は、その名の通り、かつては上野動物園や東京国立博物館の最寄駅ととして存在した駅だ。

博物館動物園前駅

だがこの駅は2000年を目前に営業を休止し、2004年に完全閉鎖された。
以後わずかな期間に限り、特別公開というかたちでその姿をみることができるようになった。

東京国立博物館、文化財でもある黒田記念館、上野公園の3つのスポットに囲まれた角地の駅舎は、普段は存在しないかのようになりをひそめている。

道ゆく人もこの構築物がかつて駅であったとは思いもよらないだろう。
ほとんどの人の視界にも入らない、幻のような存在となっている。

2.モニュメンタルな建築が面白い

この駅がつくられたのは昭和初期の1931年というから驚きだ。
この駅は元々は皇室の私有地である世伝御料地の地下に築かれたこともあり、工事には天皇の勅許が必要とされた。
その為駅舎は「品位に欠けるものではならない」として国会議事堂にも似た重厚なデザインで仕上げられた。

博物館動物園前駅

その異様な荘厳さは、駅というよりも宗教施設か地下霊廟のような趣さえ感じさせる。
戦前日本の精神と英知が結晶化した場所、それが博物館動物園駅である。

3.特別公開による内部見学

この建物は2018年に東京都選定歴史的建造物に選定されたこともあり、改修工事の上で極稀に公開がされることとなった。

今回たまたま特別公開のタイミングで訪れる機会に恵まれたので、内部に潜入できた。

補修工事では漆喰やタイルの補修の他、鉄扉で閉鎖されていた開口部に新たな扉が取り付けられるなどしている。

重い扉をくぐると、ドーム型天井の広がる空間が目に入る。
ここに立つと、音が吸い込まれるような静寂に包まれ、まるで時が止まっているかのような錯覚に陥る。

ドームの下に展示されているのは、半分に切断されたスカイライナーの模型だ。
100年近く前に建てられた遺構とピカピカのライナーの模型のコントラストが面白い。

4.階段を降りてかつての駅の記憶を辿る

階段をさらに下りていくと、段々とかつての地下鉄駅の様相が明らかになっていく。
壁にはこの駅が辿ってきた歴史が時系列に沿って展示されている。

階段を奥へ奥へと進むに従って、かつてこの駅が現役だった時代にタイムスリップしていくようでテンションがあがる。

壁に残された落書きも面白い。いけないことではあるのだけれど、こうした落書きはついつい読んでしまう。

展示の中には、駅舎の設計図も展示されていた。
精密に描かれた断面図や開口部の図面を眺めていると、この駅がただの小さな駅舎ではなく、当時の叡智と技術を結集した国家的プロジェクトであったことが伝わってくる。

5.闇に沈むウサギのオブジェ

駅は閉鎖されたけれど、線路は現役で使われているのでホームへの立入は禁止されている。

かろうじて隙間から垣間見えるのは、薄暗い空間に取り残されたアナウサギのオブジェだ。
このオブジェは2018年にこの建物のリニューアルに際して行われたイベントの異物だ。

博物館動物園前駅

異様な存在感を放つその姿は、この駅が交通インフラではなく、立入不可能な一種の聖域として機能していることを象徴しているようにも感じる。

再び階段をのぼると、明るい光が視界に差し込んできて少し安心する。

普段は立ち入ることのできない博物館動物園駅。
不定期ではあるが、稀に公開されることがあるようなので、気になった方は是非チェックしてみてほしい。

【博物館動物園駅】
オススメ度:★★★★
住所:東京都台東区上野公園13-23
アクセス:上野駅から徒歩約12分
予算目安:0円
備考:不定期で公開あり
※記事執筆時点での情報

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