1.浅草の対岸にそびえる異形のランドマーク
浅草駅から隅田川を渡ってすぐ、黒い土台に金色の巨大オブジェが乗った奇妙な建物が現れる。
それが「アサヒグループホール棟」、通称アサヒスーパードライホールだ。そして隣には泡立つジョッキを模したような本社ビルが建ち並ぶ。

この建物群が完成したのは1989年。ちょうどアサヒビール創業100周年を記念して建てられたものだ。高さ100mのビルは「100年」にかけた設定だというから、バブル期らしい気合いの入れようだ。
だが、なにより目を引くのは、黒い建物の上に無理やり乗せられたような金色のオブジェ。
フランスの鬼才フィリップ・スタルクが手掛け、「新世紀に向かって飛躍するアサヒビールの燃える心」を表していて、聖火台の炎のイメージを建築化したものだが、「う○こビル」あるいは筋斗雲などと揶揄されその意味を知る人は少ない。
2.日没後に見せる美しい姿
日が暮れると、建物の雰囲気は一変する。
黒い台座は夜の闇と一体化し、その上に金の炎だけがふわりと浮かび上がる。昼間に見る奇抜さとは異なる、静謐な美しさがそこにある。

白く光る階段、光を湛える丸窓、そして宙に浮かぶような黄金のフォルム。
ただのオブジェではない。まるで異世界の入り口のような幻想的な風景が目の前に広がる。
かつて「景観破壊」とまで言われたこの建物も、今や東京の顔の一つ。
むしろ無難な建築が並ぶ今の都市においては、この突き抜けたセンスは異彩でありながら独自の個性を放って街を彩っている。
3.外観だけじゃない、内部空間が面白い
金の炎の下に広がるのが、アサヒビールのレストラン「フラムドール」である。
フラムドールはフランス語で金の炎を意味しているが、金のオブジェの意味をレストラン名で強く弁明しているようで面白い。

入口は白く光る階段を上がった先にあり、遠目の姿からは想像できないほど艶やかで整ったデザインとなっている。
内部に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは吹き抜けの大空間。
豪華な曲線、重力を感じさせず伸び上がる巨大な柱、柔らかな素材づかい。どこを見てもバブルの残り香が漂っている。
空間全体がスタルクの世界観で統一されており、建築好きでなくても思わず唸るはずだ。

特に注目したいのがトイレ。
乳白色の間仕切りが立ち並ぶデザインで、今では絶対に再現されないバブル様式。お手洗いまでがアートのような空間となっている。
4.料理も空間もインパクト大
ビールは定番のスーパードライからクラフト系まで多種多様だ。

料理も酒に合うメニューがずらりと並ぶ。
こちらのサーロインステーキの炙り焼きは人気のメニューのひとつ。グリル野菜と共に、ガツンとくる肉の旨みが口いっぱいに広がる。

見た目も楽しい巨大なガーリックトーストをはじめお酒にあうメニューが揃っている。

スタンダードなビールも美味しいが、時間とともに味が変わるフルーツアイス入りのビアドロップスも印象的だった。
見た目のインパクトだけでなく、味の変化までも演出するあたり、さすがバブル仕込みのエンタメ空間である。
5.バブルとビールの記憶を味わいに
アサヒグループホール棟は、単なるビール会社のレストランではない。
これは、バブルという時代の記憶を建築とお酒を通して体感できる特別な空間だ。

現代建築ではなかなか味わえない空間は、珍スポット好きもグルメ好きも、ちょっと変わったデートスポットを探している人にもオススメできる。
浅草の喧騒を抜けて、隅田川のほとりで味わう金の炎と泡の宴。
知っているようで知らない東京の奥深さを、ここで再発見してみてはいかがだろうか。
【アサヒスーパードライホール/フラムドール】
オススメ度:★★★
住所:東京都墨田区吾妻橋1-23-1
アクセス:浅草駅から徒歩約5分
営業時間:11:30~22:00
予算目安:3000円~5000円
※記事執筆時点での情報
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